で、ここで親密さを出すために耳打ち。邪魔な髪を唇で避けてやる。
『ホテル行く?』
足でも踏まれる覚悟で囁いてやった。これならもうリーマンの付け入る隙、ないんじゃない?
「百奈、今はえっちの気分じゃないんだぁ。もう、鹿助君ってばガッツキすぎててキモーい。」
小馬鹿にするような顔で言われて、今すぐこの女をしばき倒したい。おっと、口悪い俺の本音がつい出ちゃったところで、もう一度耳打ちをしてやる。
『そんな百奈も好き。』
じゃないけどね。
後ろを見れば、すでにリーマンの姿はなかった。
「……で?何食べる?ホテルでコース?それとも蟹しゃぶ?」
「お高そうなご飯で私が喜ぶとでも思ってるの?」
「じゃあスープストアとか?パスタ系?」
女の子がいつも食べたいっていうものを上げてみた。正直スープストアとか男の腹には何の需要もない。
スープがおかず?それで儲かっているスープストアの商品開発部に潜入したいところ。
「『米と肉。』。」
「……え?」
「ご飯と肉そぼろ食べ放題の、米と肉がいい。」
「本気?」
「なんで?」
きょとん顔で俺を見上げる百奈。正直、可愛くはない。



