ꐕ・𐀪・𐁑・𖠋・𐀪
「鹿助くーん!今日はスーツなんだねえ!」
「聞いたよ?もうすでに製薬会社から内定の打診されてるんでしょ?」
4人組の女の子に絡まれて、適当な笑顔を見繕ってお
く。
『そうだよー。俺の実力すごいっしょー。』
心の声を大にして、腕に絡みついてくる彼女らを適度に受け入れておく。
薬学部棟の中庭で、さっき実習を終えた部屋の窓を見上げてみれば、窓際には百奈の後ろ姿が見える。
あれは男に絡まれている感じ。
背中向けてるから俺には気付かない?気付けよ阿保。気付いて恋人らしい嫉妬を向ければいいじゃん。
恋人ごっこから本気で落とすにはスパイスが大事なんじゃん?昔付き合った女の子に、刺激が足りないって言われたことあったっけ。クソめんど。
『3年の時点で内々定とか、そんな薬学部生がいたら見てみたいものね。』
磯村教授に嫌味を言われたのは、まだ先週の話だ。俺の家庭の内情を知っている彼女には、恐らく親のスネをかじるボンボンくらいに思われているのだろう。
今となっては、磯村教授のむき出しの皮肉を受け入れることが出来る。なんせ俺も百奈に同じような感情を抱いているのだから。



