「やっぱり、うちんらのこと疑ってるの?」
「え?疑ってないって。」
「それならさあ、矛兎さん、この葛根湯飲んでみてよ。」
「はい?」
「東さんの桂皮をうちんらが盗んだとは思ってないんでしょ?だったらこの処方で飲めるはずでしょ?」
「……う……」
「ね?飲めるでしょ?」
ランプを囲う三脚台からビーカーを取り、ティーバッグから抽出された液体が紙コップに全量注がれる。
まだ熱いそれを、彼女が私に渡してきた。
「ねえ、なんの証拠もないのに、臭いだけで疑われて気分が悪いんだけど。お詫びに飲んでよ。」
「…………」
このタイミングで鳴るお腹。
お昼食べてないから、得体のしれない漢方でお腹満たせって?いいよ。やってやろうじゃん。
彼女から紙コップを両手で受け取って、ふうふうと息で冷ます。でもお腹空いている時の方が漢方は吸収しやすいから、きっとお腹痛くなる。
震えそうな両手でしっかり紙コップを絶妙な力加減で支えた。
「百奈!そんなの飲まなくたっていいって!」
乙菱が後ろから声を掛けてきて、目の前の彼女がキツい目つきで睨みつける。



