ꐕ・𐀪・𐁑・𖠋・𐀪
「百奈、私の知らぬ間に盾狼君と付き合ったってほんと?」
ゼミが終わって、ランチ中に乙菱が私をじっと見つめてくる。
財禅《ざいぜん》准教授の一室にて、乙菱が、ゴミ箱を抱えながらラスクを食べていた。
「……バターとグラニュー糖を乗せた固いパンがお昼ご飯?」
「そういう百奈は、新生姜おにぎりとクリチベーグル??カフェオレと濃厚緑茶で新たな境地へいってらっしゃい。」
「いえ、これには深い理由がございまして……」
元々よく食べる私だけど、さすがにこの組み合わせはないらしい。
乙菱には、鹿助君とのお付き合いごっこに至ったエピソードを伝えておいた。
「……そっか。私の居ぬ間にそんなことが。」
「うん。」
「まさか百奈がそんな安上がりな女だったなんて。」
「だって。真知美ちゃんの因縁から救ってくれたし。」
「百奈だって盾狼君のこと助けてあげたならお互い様じゃない。」
「だって、真知美ちゃんがけっこうすんなり引き下がったし。」
今まで知らない女に因縁つけられたのは数知れず。ビンタされたのも数知れず。酷い時は持っている荷物をぽーんと投げられたこともある。
だから、真知美ちゃんをすんなり引かせた鹿助君と付き合っていることにすれば、この先被害が少なくなるのかなあって。
それに、乙菱に被害が出るのが一番困るもん。



