――――その午前9時23分のレシートを不要箱に捨てる彼の指先。安い女で良かったって、心の中で失笑でもしてるんでしょ?
と思ったら、本当に顔が失笑していた。
そんな彼に、私、矛兎百奈は嫉妬していた。
同じ大学3年、薬学部薬学研究学科、同じくサークルクラッシャーと言われる彼に。
立ち回りが器用で、サークルを壊す癖にどこか憎めないと、彼、盾狼鹿助《たてがみろくすけ》の周りには人が集まってくるのだ。
『百奈と俺、似てるよね。』
『似てない。そもそも遺伝子からして違う。』
『身体のつくりもね。違うよね。』
『一緒にしないで。』
『そこ一緒だったら困る。』
私はあざとい、彼は憎めない。
私はクラッシャー、彼はカリスマ。
私は絶対、好きにはならない。
ならないからね?
『はいはい。俺もね、絶対に、あ。見てみ、民間療法に使われるドクダミの草が生えてる。』
『わー。草草。』
『ww』
なにはともあれ、形だけ付き合ってみれば、周りは平穏無事。
ただし私と彼の仲は、ほぼ嵐。



