幼なじみは私の秘密の吸血鬼【マンガシナリオ】

〇昼、学校、休み時間、姫花のクラス(2-C)

小テスト55点の紙を見ながら打ち震える姫花

姫花(やっ……やってしまったぁ~……)
姫花(赤点じゃなかったけど、さすがにこの点数はやばいー)

落ち込む姫花の傍に来る狩夜
姫花、気付いていない

狩夜「鷹山さん、そんなに酷い点だったの?」
姫花「うわぁっ!? か、狩夜くん……」
姫花「点数はその……うん、あまり良くなくて……」
狩夜「ふーん……」
狩夜「良ければ勉強教えてあげよっか?」
姫花「え!?」
狩夜「この間、学校案内してくれたお礼に」

にっこりスマイルの狩夜
驚きで茫然とする姫花

アルト「ちょっと待ったぁああああ!」

そこに乱入するアルト

姫花「おわぁ!? び、びっくりした……アルトどうしたの?」
アルト「たまたま通りかかったら、な~んか楽しそうな話してるじゃん?」

言いながら狩夜を睨みつけ、姫花の方へ向き直るアルト

アルト「姫花。勉強なら俺が見てやるよ」
姫花「へ?」
アルト「昔からおまえより俺の方が点はいいだろ?」
姫花「うっ……それはまあそうだけど……」
アルト「だったら俺が教えるんでも問題無いだろ?」

狩夜にバチバチと火花を飛ばすアルト
そこに乱入してくる夢乃

夢乃「なになにー? 勉強会の話? 私も混ぜてー!」
アルト「うおっ!? なんだよ愛牧。ビビらせんな」
夢乃「えへへ! 四人で勉強会だなんて楽しそうだね。誰の家でするの?」
姫花「え!?」
姫花(なんか勉強会する流れになってる!?)
狩夜「うちはちょっと厳しいかな……」
夢乃「うちもー。アルトくんの家は?」
アルト「うちは今日、親が休みの日だからムズイかな」

三人の視線が姫花の方へ向く

姫花「へ……?」


〇夕方、姫花の家、リビング

姫花(――というわけで)

リビングでわいわいしているアルト、夢乃、狩夜

姫花(何故かこのメンバーで勉強会をすることになっちゃったよ)
姫花(狩夜くんもそうだけど、それ以上に愛牧さんのこと全然知らないから緊張するな……)

夢乃と目が合う姫花
ぷいっと顔を背ける夢乃

夢乃「アルトくんの家は隣なのー?」
アルト「あ? ああ」
夢乃「えー。じゃあ後でチラッとお邪魔しちゃおうかなー」
アルト「やめろって」

なんとなくイチャイチャしている風なアルトと夢乃
それをぼんやり見ている姫花の傍にやって来る狩夜

狩夜「そこの机、使っていいの?」
姫花「へ? ああ、うん」
姫花「今日は親いないし、リビングは好きに使ってもらって……」
狩夜「そう。じゃあ勉強しようか」

狩夜、姫花の手を引いて勉強をし始める
ゲームするんだー、などとお喋りする二人

アルト「………」

それを見て面白くなさそうなアルト
そんなアルトを横目でみている夢乃

狩夜「二人もそろそろ勉強しようよ」
アルト「……おう」
夢乃「はーい!」
姫花「………」

わいわいと勉強を始める四人

姫花(最初はどうなることかと思ったけど――)
姫花(――なんだかんだイイ勉強会になりそう)

しばらく勉強をしている四人
アルト、伸びをする

アルト「あ~~~~、疲れた。ちょっと休憩しね?」
夢乃「だねー」
姫花「わー、けっこう集中してたんだ」※時計を見ながら
狩夜「せっかくだし何かお菓子と飲み物でも買ってこようか」

立ち上がる狩夜

姫花「えっ!? そ、そんな……」
夢乃「わーい! じゃあお言葉に甘えまーす」
姫花(うわぁ……愛牧さん、甘え上手とはこのことか)

アルトも立ち上がる

アルト「じゃあ俺らで行ってくるから待ってろ」
姫花「う、うん。気を付けて」

アルトと狩夜、買い出しに行く

姫花「………」
夢乃「………」

姫花(よ、よく考えたら愛牧さんと二人っきりじゃん)
姫花(ききききまずい~~~……)

夢乃「あのさ」
姫花「!」

今までのしおらしい態度から一転、毅然とした表情を姫花に向ける夢乃

姫花「は、はい」
夢乃「ちょっとハッキリさせておきたいんだけどさ」
姫花「は、ははははい!?」
夢乃「アルトくんのこと」
夢乃「幼なじみって言ってるけどぶっちゃけどうなの?」
姫花「……!」

目を見開く姫花


〇夕方、コンビニ

アルト「お。これ姫花が好きなやつだ」

棚からお菓子を取り、かごに入れるアルト
その様子を見ている狩夜

狩夜「……鷹山さんと仲が良いんだね」
アルト「あ?」

怪訝そうな顔で狩夜を見るアルト

アルト「あいつとは幼なじみで付き合い長いからな」
狩夜「ふうん」

口元に手を当て何かもの言いたげな狩夜
そんな狩夜にイラっとするアルト

アルト「なんだよ。何か言いたいことがあるならハッキリ言えよ」
狩夜「いや……ただ」
狩夜「幼なじみ以外の関係ではないの?」
アルト「は?」

一瞬、姫花と『ツガイ』であることを思い浮かべるアルト
ややキレた表情になりつつも、フッと挑発的な笑みを浮かべる

アルト「……もしそうだとしても、おまえには関係無いだろ」
狩夜「まあね」
アルト「おまえこそ、なんでそんなに俺たちの関係性について訊いてくんだよ」
狩夜「………」

真っ直ぐ見合う二人

アルト「べつにおまえが姫花狙いだとしても、譲る気はねぇから」
狩夜「……それは幼なじみとして?」
アルト「………」


〇夕方、姫花の家、リビング

夢乃「幼なじみって言ってるけどぶっちゃけどうなの?」
姫花「え……」
姫花「ど、どうって……」
夢乃「幼なじみ以上の感情はあるの?」
姫花「それは……」

姫花(そんなのいきなり言われたってわかんないよ……っ!)

夢乃「私、恋愛は正々堂々やらせてもらってるから」
夢乃「だからもし二人が付き合ってるっていうなら身を引くけど」
夢乃「そうじゃないなら私も本気でいかせてもらう」

ハッキリと言い切る夢乃
対してうろたえる姫花

姫花「わ……私とアルトは幼なじみで……」

アルトを男として意識するシーンが脳裏に浮かぶ姫花
だが、その思いから目を反らすように目を固く閉じる

姫花「私はアルトのこと……」
アルト「ただいまー」

姫花の言葉に被せてアルトと狩夜が帰ってくる

夢乃「おかえりー!」
姫花「お、おかえり……」

気にした様子も無くアルトに駆け寄る夢乃
その姿を見ながら考え込む姫花


〇夜、姫花の家の前

勉強会を終え、解散する四人
姫花の家の前で解散する

狩夜「じゃあ、今日はありがとう」
夢乃「次はアルトくんの家でやろうねー」
アルト「やんねーよ。気を付けて帰れよ」

帰っていく狩夜と夢乃
姫花だけ立ち尽くしている
それを不思議そうに見ているアルト

アルト「姫花」
姫花「え?」
アルト「なんかあったのか?」

夢乃のことが脳裏によぎる姫花
作り笑いを浮かべる

姫花「ううん。なんにもないよ」

姫花(私――アルトのことどう思ってるの……?)