〇アルトの家、アルトの部屋
アルト「だったら、幼なじみ、やめる!」
姫花(え……えぇ~~~!?)
姫花「お、幼なじみやめるって何!? なんで!?」
アルト「だっておまえが……ッ」
アルト、顔を真っ赤にしてぐぬぬといった表情を浮かべる
アルト「もう知らん!」
姫花「ちょっ……」
アルト「俺は悪くない! 出てけ!」
姫花、アルトの部屋から追い出される
立ち尽くす姫花
姫花(な、な、なにそれ~~~~~~!?)
〇朝、アルトの家の前
次の日、いつも通りアルトを迎えに行く姫花
出てきたのはアルト母
アルト母「あら姫花ちゃんおはよぉ」
アルト母「ごめんなさいね。アルトなんか、先に行くとか言って出てっちゃったのよ」
姫花「え、あ……そうですか」
姫花、一人で学校へ向かう
姫花(アルトのやつ~~~~~!)
姫花(何? なんで怒ってんのアイツ!?)
〇回想
アルト「……おまえこそ」
姫花「え?」
アルト「おまえこそ、なんで普通にしてるわけ?」
姫花「え、何が?」
アルト「だって俺……昨日おまえにキスしたんだぞ!?」
〇回想終了
姫花(キスされたからこそ、変に意識しないようにしてるのに……!)
姫花(……酔った状態みたいな時にされたキスで、私たちの『幼なじみ』って関係を崩したくなかったから)
姫花(だから普通にしてたのに……っ!)
〇朝、学校、廊下
登校してきた姫花
トボトボと廊下を歩き教室に向かう
その途中、前方にアルトと夢乃の姿が
夢乃「アルトくーん、おはよ!」
夢乃、アルトの腕にしがみつく
アルト「うおっ」
夢乃「えへっ。ビックリしたぁ?」
アルト「朝からビビらせんなよ」
姫花、その光景を見ている
アルトと目が合う
姫花「アルト、おは……」
アルト「………」
アルト、無視して姫花の横を通り過ぎる
茫然と立ち尽くす姫花
姫花(む……無視ぃ~~~~~!?)
姫花(酷いアルト! 無視までする!?)
姫花(どんだけ……!)
姫花「……どんだけ怒ってるのよ」
悲しげな顔で呟く姫花
〇夜、姫花の家、姫花の部屋
ベッドの上で寝転がりながらゲーム機を持っている姫花
浮かない顔でハントとチャットをしている
ハント『今日は珍しくミスが多かったね。なんかありました?』
タカヒメ『うう……面目ない。それがちょっとリアルの方でありまして……』
ハント『そうなんだ。まあそういう日もあるよ。無理しないで』
タカヒメ『ありがとうございます~~~!』
姫花「ハントさん、やっぱり優しいな」
姫花「………」
ハントに相談を持ち掛けることを決める姫花
タカヒメ『実は……幼なじみのことなんですけど』
ハント『ああ。前に言ってた』
タカヒメ『幼なじみを、その……なんか怒らせちゃったみたいで』
ハント『あらら』
タカヒメ『でも怒った理由が全然わからなくて。謝るとしたって、なんて謝ればいいのかわからないし……』
ハント『うーん、難しいね。俺は状況よくわからないからなんとも言えないけど……』
姫花「すみませんハントさん……こんな断片的な情報で相談しちゃって……」
ハント『タカヒメさんがどうしたいのかが重要なんじゃないかな』
タカヒメ『私が……ですか?』
ハント『そう。タカヒメさん優しいから、相手が何で怒ってるかとか、相手を傷付けないようにだとか考えてるでしょ?』
ハント『でも今回は本当に怒った理由がわからないんだから、たぶん二人の間で知らぬ間に話がこじれちゃってると思うんだよね』
タカヒメ『こじれる……』
ハント『そういう時は相手のことよりも、自分がどうしたいのかの気持ちを優先して、ちゃんと自分の考えとかを相手に伝えられる方がいいのかなーって思うよ』
タカヒメ『ハントさん……ホントに大人ですね……』
ハント『いえいえ』
姫花「はぁ~~~~! ハントさん頼りになる~~~!」
枕に突っ伏す姫花
ごろん、と転がり仰向けになる
姫花「私がどうしたいか……私の考え、かぁ」
〇回想
アルト「おまえこそ、なんで普通にしてるわけ?」
姫花「え、何が?」
アルト「だって俺……昨日おまえにキスしたんだぞ!?」
姫花「へ、変に意識なんかしたってしょうがないじゃん!」
姫花「私たち、変わらず幼なじみでしょ!?」
〇回想終了
姫花「キスって言ったって……満月の日で吸血鬼の本能が強くなったからであって……」
姫花「私は、それで変に意識して、アルトとの幼なじみって関係が壊れちゃうのが嫌だったんだよ……」
目元を隠すように腕を乗せ、一人呟く姫花
〇朝、通学路
トボトボと通学する姫花
姫花(アルト……また先に行っちゃってた……)
姫花(でも今日こそちゃんとアルトと話がしたいな)
姫花(こんな状態、もうやだよ……)
〇朝→昼→夕方、学校
姫花(……でも)
姫花(なかなかアルトと二人きりになれないよ~)
授業ですれ違ったり、夢乃と一緒にいたりするアルト
そんなアルトを遠巻きに見る姫花
〇夕方、放課後、姫花の教室(1-C)
鐘の音が鳴り、授業が終わる
同時に立ち上がり、急いで帰り支度をする姫花
姫花(よーし授業終わったぁ!)
姫花(急いでアルトの元へ行こう!)
〇夕方、放課後、階段
階段を降りているアルトを見付ける姫花
姫花、急いで階段へ向かう
姫花「アルト!」
アルト「……!」
アルト、気まずそうな顔をして行こうとする
姫花、慌てて階段を駆け下りる
姫花「待ってアルト! 私……っ」
階段を踏み外し、落ちかける姫花
姫花「きゃっ……!」
アルト「……!」
アルト「姫花!」
アルト、吸血鬼の身体能力を使うため、目の色が一瞬変わる
姫花を抱き締め、階段の踊り場で受け止めるアルト
姫花「……っアルト! 大丈夫?」
アルト「いや、俺は平気だけど姫花は……」
そこで言葉が途切れるアルト
姫花がボロボロと涙を零している
アルト「な、なんだよ!? どっか怪我したのか!?」
姫花「違う……だってアルトが……ずっと無視するから……っ」
アルト「あ……あ~……それは……」
気まずそうに目を反らそうとするアルト
だが泣きながらも真っ直ぐ見つめてくる姫花から目を反らせない
姫花「アルト……『なんで普通にしてるわけ?』って言ったよね?」
姫花「ひっく……だって、アルトのお母さんが、満月の日の吸血鬼は酔っぱらった状態って、言ってて……っく」
アルト「酔っぱらった……」
姫花「そんな時にされたキス、意識するわけないじゃん……っ」
アルト「お、俺は……」
姫花「私っ、アルトと幼なじみやめるの嫌だよぉおお……っ!」
姫花、わんわんと号泣
アルト、そっと姫花の手を握る
アルト「……わかったよ」
姫花「え……?」
アルト「そもそも幼なじみやめるって、そういう意味で言ったんじゃねぇし……」
姫花「どういうこと?」
アルト「それにキスだって、べつに酔ってたわけじゃねぇし……」
姫花「???」
どんどん小声になっていくアルト
顔を赤らめ、不貞腐れたような表情になる
アルト「おまえがそうなら“今はまだ”幼なじみでいいよ」
姫花「……ホント?」
アルト「……おう。ただし」
アルト「俺のこと、幼なじみ以上に感じたら……そん時はちゃんと言えよ」
きょとんとする姫花
見る見る内に笑顔になる
姫花「よくわかんないけど、良かった……っ!」
アルトに抱きつく姫花
アルト「ば、馬鹿っ! 人に見られるだろ……!」
姫花(やっぱりアルトは)
姫花(私にとって大切な――幼なじみなんだ)
アルト「だったら、幼なじみ、やめる!」
姫花(え……えぇ~~~!?)
姫花「お、幼なじみやめるって何!? なんで!?」
アルト「だっておまえが……ッ」
アルト、顔を真っ赤にしてぐぬぬといった表情を浮かべる
アルト「もう知らん!」
姫花「ちょっ……」
アルト「俺は悪くない! 出てけ!」
姫花、アルトの部屋から追い出される
立ち尽くす姫花
姫花(な、な、なにそれ~~~~~~!?)
〇朝、アルトの家の前
次の日、いつも通りアルトを迎えに行く姫花
出てきたのはアルト母
アルト母「あら姫花ちゃんおはよぉ」
アルト母「ごめんなさいね。アルトなんか、先に行くとか言って出てっちゃったのよ」
姫花「え、あ……そうですか」
姫花、一人で学校へ向かう
姫花(アルトのやつ~~~~~!)
姫花(何? なんで怒ってんのアイツ!?)
〇回想
アルト「……おまえこそ」
姫花「え?」
アルト「おまえこそ、なんで普通にしてるわけ?」
姫花「え、何が?」
アルト「だって俺……昨日おまえにキスしたんだぞ!?」
〇回想終了
姫花(キスされたからこそ、変に意識しないようにしてるのに……!)
姫花(……酔った状態みたいな時にされたキスで、私たちの『幼なじみ』って関係を崩したくなかったから)
姫花(だから普通にしてたのに……っ!)
〇朝、学校、廊下
登校してきた姫花
トボトボと廊下を歩き教室に向かう
その途中、前方にアルトと夢乃の姿が
夢乃「アルトくーん、おはよ!」
夢乃、アルトの腕にしがみつく
アルト「うおっ」
夢乃「えへっ。ビックリしたぁ?」
アルト「朝からビビらせんなよ」
姫花、その光景を見ている
アルトと目が合う
姫花「アルト、おは……」
アルト「………」
アルト、無視して姫花の横を通り過ぎる
茫然と立ち尽くす姫花
姫花(む……無視ぃ~~~~~!?)
姫花(酷いアルト! 無視までする!?)
姫花(どんだけ……!)
姫花「……どんだけ怒ってるのよ」
悲しげな顔で呟く姫花
〇夜、姫花の家、姫花の部屋
ベッドの上で寝転がりながらゲーム機を持っている姫花
浮かない顔でハントとチャットをしている
ハント『今日は珍しくミスが多かったね。なんかありました?』
タカヒメ『うう……面目ない。それがちょっとリアルの方でありまして……』
ハント『そうなんだ。まあそういう日もあるよ。無理しないで』
タカヒメ『ありがとうございます~~~!』
姫花「ハントさん、やっぱり優しいな」
姫花「………」
ハントに相談を持ち掛けることを決める姫花
タカヒメ『実は……幼なじみのことなんですけど』
ハント『ああ。前に言ってた』
タカヒメ『幼なじみを、その……なんか怒らせちゃったみたいで』
ハント『あらら』
タカヒメ『でも怒った理由が全然わからなくて。謝るとしたって、なんて謝ればいいのかわからないし……』
ハント『うーん、難しいね。俺は状況よくわからないからなんとも言えないけど……』
姫花「すみませんハントさん……こんな断片的な情報で相談しちゃって……」
ハント『タカヒメさんがどうしたいのかが重要なんじゃないかな』
タカヒメ『私が……ですか?』
ハント『そう。タカヒメさん優しいから、相手が何で怒ってるかとか、相手を傷付けないようにだとか考えてるでしょ?』
ハント『でも今回は本当に怒った理由がわからないんだから、たぶん二人の間で知らぬ間に話がこじれちゃってると思うんだよね』
タカヒメ『こじれる……』
ハント『そういう時は相手のことよりも、自分がどうしたいのかの気持ちを優先して、ちゃんと自分の考えとかを相手に伝えられる方がいいのかなーって思うよ』
タカヒメ『ハントさん……ホントに大人ですね……』
ハント『いえいえ』
姫花「はぁ~~~~! ハントさん頼りになる~~~!」
枕に突っ伏す姫花
ごろん、と転がり仰向けになる
姫花「私がどうしたいか……私の考え、かぁ」
〇回想
アルト「おまえこそ、なんで普通にしてるわけ?」
姫花「え、何が?」
アルト「だって俺……昨日おまえにキスしたんだぞ!?」
姫花「へ、変に意識なんかしたってしょうがないじゃん!」
姫花「私たち、変わらず幼なじみでしょ!?」
〇回想終了
姫花「キスって言ったって……満月の日で吸血鬼の本能が強くなったからであって……」
姫花「私は、それで変に意識して、アルトとの幼なじみって関係が壊れちゃうのが嫌だったんだよ……」
目元を隠すように腕を乗せ、一人呟く姫花
〇朝、通学路
トボトボと通学する姫花
姫花(アルト……また先に行っちゃってた……)
姫花(でも今日こそちゃんとアルトと話がしたいな)
姫花(こんな状態、もうやだよ……)
〇朝→昼→夕方、学校
姫花(……でも)
姫花(なかなかアルトと二人きりになれないよ~)
授業ですれ違ったり、夢乃と一緒にいたりするアルト
そんなアルトを遠巻きに見る姫花
〇夕方、放課後、姫花の教室(1-C)
鐘の音が鳴り、授業が終わる
同時に立ち上がり、急いで帰り支度をする姫花
姫花(よーし授業終わったぁ!)
姫花(急いでアルトの元へ行こう!)
〇夕方、放課後、階段
階段を降りているアルトを見付ける姫花
姫花、急いで階段へ向かう
姫花「アルト!」
アルト「……!」
アルト、気まずそうな顔をして行こうとする
姫花、慌てて階段を駆け下りる
姫花「待ってアルト! 私……っ」
階段を踏み外し、落ちかける姫花
姫花「きゃっ……!」
アルト「……!」
アルト「姫花!」
アルト、吸血鬼の身体能力を使うため、目の色が一瞬変わる
姫花を抱き締め、階段の踊り場で受け止めるアルト
姫花「……っアルト! 大丈夫?」
アルト「いや、俺は平気だけど姫花は……」
そこで言葉が途切れるアルト
姫花がボロボロと涙を零している
アルト「な、なんだよ!? どっか怪我したのか!?」
姫花「違う……だってアルトが……ずっと無視するから……っ」
アルト「あ……あ~……それは……」
気まずそうに目を反らそうとするアルト
だが泣きながらも真っ直ぐ見つめてくる姫花から目を反らせない
姫花「アルト……『なんで普通にしてるわけ?』って言ったよね?」
姫花「ひっく……だって、アルトのお母さんが、満月の日の吸血鬼は酔っぱらった状態って、言ってて……っく」
アルト「酔っぱらった……」
姫花「そんな時にされたキス、意識するわけないじゃん……っ」
アルト「お、俺は……」
姫花「私っ、アルトと幼なじみやめるの嫌だよぉおお……っ!」
姫花、わんわんと号泣
アルト、そっと姫花の手を握る
アルト「……わかったよ」
姫花「え……?」
アルト「そもそも幼なじみやめるって、そういう意味で言ったんじゃねぇし……」
姫花「どういうこと?」
アルト「それにキスだって、べつに酔ってたわけじゃねぇし……」
姫花「???」
どんどん小声になっていくアルト
顔を赤らめ、不貞腐れたような表情になる
アルト「おまえがそうなら“今はまだ”幼なじみでいいよ」
姫花「……ホント?」
アルト「……おう。ただし」
アルト「俺のこと、幼なじみ以上に感じたら……そん時はちゃんと言えよ」
きょとんとする姫花
見る見る内に笑顔になる
姫花「よくわかんないけど、良かった……っ!」
アルトに抱きつく姫花
アルト「ば、馬鹿っ! 人に見られるだろ……!」
姫花(やっぱりアルトは)
姫花(私にとって大切な――幼なじみなんだ)


