ツレナイ彼×ツヨガリ彼女

お互いにどこにいるのかを把握しながら仕事を進めていた二人は、専用のアプリで位置情報を共有していた。
慶介は自分の車のナビに理香子の位置情報を読み込ませて、急いでその場所へ向かう。

すぐに切れてしまった電話に、理香子は出ない。
何度も何度もかけ続けながら、位置情報が示す場所へと急いだ。

「理香子っ!」
慶介が駆け込んだのは駅の構内にある医務室だった。

少し汚れているとのドアを開けた瞬間、医務室のベッドに座りうずくまる理香子が視界に入る。
すぐに理香子に近づき、慶介はそっと遠慮がちに理香子に触れた。

「理香子。どうした?ん?」
理香子は肩で息をしながら、大粒の涙を流し、顔を上げる。

その顔を見た瞬間、遠慮がちに伸ばした手を理香子の背中に回し、慶介は力強く抱き寄せた。

「大丈夫だ。もう大丈夫。」
駅の駐車場から走ってきた慶介の額に汗がにじむ。

不安だった。

一刻も早く理香子のもとへ行きたくて必死だった。
なりふり構わず走って来た。

荒い呼吸のまま、慶介をすがるように見つめる理香子。
こんなに弱弱しい理香子を見るのは初めてだった。