月花のナイトに寵愛される

「この町の女の子って怖いからさ、家出少女を装って悪徳商法するとか、合意の上だと思ってたら訴えられて示談金を払うことになったとか、そういうのばっかりなんだよね。だからきみが本当に困ってるのかどうかわからなくて試すようなことしちゃった」


ほんとごめんね、と彼はまた謝罪の言葉を口にする。

私はただ自分のことしか考えていなかったのに、彼はそんなことまで考えていたとは思わず驚いた。

それと同時にこの町はやっぱり怖いところなんだと震えあがる。


だけどそんな町で、騙されているかもしれないと思いながらも助けてくれたこの人は、とんでもなくいい人なのかもしれない。


「えっと、きみって――あ、そういえば名前聞いてなかったね。俺、(みなと)。きみの名前教えてくれる?」

「あ、えっと、依桜(いお)……です」

「依桜、着替え持ってる?」

「も、持ってない、です」


いまだに緊張が抜けないまま答えると、彼はおっけーと軽く返事をしてなにやらスマホを触り始めた。


「下着も?」
「な、ないです」


さっきまでのことが頭によぎり単語ひとつにすらドキリとする。

これはもしかしてそういうこと……なのだろうか。
また心臓がドキドキし始めて苦しくなる。