月花のナイトに寵愛される

「えっ」


性急な展開にびっくりしている間に、彼はそのまま私に覆いかぶさる。
一気に縮められた距離に心臓が悲鳴を上げた。


「……ねえ、この町がどういうところか知ってて来たの?」


疑問をぶつけてくる彼は、さっきまでのように笑っていなかった。
それが余計に恐怖心を助長する。

はいと返事をすることもできなくて、ただ頷いた。


「……そう。じゃあさ」


彼はそっと私の太ももに触れた。
制服越しにただ触れられているだけなのにとんでもない嫌悪感に襲われる。
それなのに恐怖で体が動かせず抵抗できない。


「女の子が男に助けてもらうにはどうしたらいいか、わかってるよね?」


彼の目は鋭く、私の愚かな計画も本心も見透かされているようで怖かった。

だけど目の前の男の言う通り、何もかもわかっていて、覚悟をして行動を起こしたのは私自身だ。
拒否をする理由も権利もない。

そうわかっているのに、怖くて逃げだしたくてたまらない。
イケメンなら、きれいな人ならなんて思ったのは間違いだった。
そんなことは全く関係ない。


見知らぬ人なんて無理なんだ、やっぱり好きな人じゃないと。


――そういまさら気づいたってもう後の祭りなんだけど。


ぎゅっと目をつむって、事が済むのを待つ。