月花のナイトに寵愛される

湊は私の顔を覗き込むと「うーん……」と神妙な顔で呟く。


「熱はないみたいだけど……しんどくない?」
「だい、じょうぶ」


片言になってしまったけれど、今度はちゃんと返事をすることができた。
湊は眉をひそめながらも口元を緩める。


「それならよかった。あ、そろそろチャイム鳴るね。教室戻ろっか」


そう言われてスマホで時間を確認する。
10分というのは本当にあっという間だ。

うん、と頷いて彼の後ろをついていく。



教室の近くまで来ると湊が振り向いた。


「じゃあ放課後迎えに行くから。無理はしないよーに!」
「えっ」


それだけ言うとにこりと手を振って行ってしまった。

迎えに行く?
私を?
なんで?

疑問が次々湧いてくるのに、それをぶつける相手はもういない。

どうしようと悩んでいたらチャイムが鳴った。
もんもんとする気持ちを抱えながら教室に入る。

クラスメイトがちらちらと私を見ているけれど、すぐに先生が入って来たことによって、なにも聞かれることはなかった。