月花のナイトに寵愛される

すると湊はやっと笑いがおさまったのか、優しい声で「依桜」と私の名前を呼んだ。


「真面目に頑張るのはいいことだけど、無理はしないで」
「……えっ?」


降ってきた言葉に驚いて思わず顔を上げる。
湊は昨夜と同じ、和やかな表情を浮かべていた。

そしてまた眉尻が下がる。


「熱とかない? 寝不足でしんどくない?」


次は私が目を見開く番だった。

……心配、してくれてる。

さっきはバカにされてた訳じゃなかったの?
ただ本当におもしろかっただけ?
それとも同情で心配してくれてる?


「依桜?」


ぐるぐると考えてしまっていたせいで、返事をするのを忘れていた。
大丈夫だよ、と言おうとしたとき、湊が先に口を開く。


「もう、やっぱりしんどいんじゃないの? 昨日雨でびしょ濡れだったし、遅くまで起きてたから全然寝てないでしょ?」


伸びてきた手がおでこに触れる。

心臓がドキッと大きな音をたてた。
だけど昨日みたいな嫌な感じはしない。

だから拒もうとは思わなくて、それなのになんだか胸がむず痒くて、どうしたらいいかわからず動けなかった。