月花のナイトに寵愛される

スマホでここから学校までの行き方を調べて、家出したときに一緒に持ってきていた通学カバンを手に取って部屋を出る。

ちらりと隣の部屋を見るけれど、物音はとくに聞こえない。


昨日は遅かったし、まだ寝てるよね。
ここを出るならたぶん声をかけたほうがいいだろう。

だけど起こしてまでのことじゃないし、ただ学校に行くだけだし、ほかに帰るところないから絶対ここに帰ってくるし。

そうやってひとしきり言い訳を並べて、また考える。


……だけど、彼は優しいひとだったから、一応。


ノートを破ってシャーペンで文字を書く。


『昨日は本当にありがとう。学校に行ってきます』


ほかにも書いた方がいいかと考えたけれど、結局それだけにして、紙を事務所のような部屋の大きな机に置いておく。

そしてエレベーターのボタンを押して1階へと降りた。