月花のナイトに寵愛される

彼はいい人だと思う。
だけどおかしな人でもある。

なにせこの町に住んでいるし、こんな目に見えて訳ありな女を拾って無料で住まわしてもくれるのだから。

もしかすると寝てる間に殺されているかもしれないけれど、そちらの方がむしろ健全だとすら思う。

まあ彼が本当にいい人であってもなくても私に選択肢などない。
いい人であってほしいと願って眠り、彼にお世話になるしかないのだから。


そうはわかっていてもやっぱりできるだけ怖い目にはあいたくなくて湊を見る。


「……どうして、助けてくれるの?」


発した声は思ったよりも弱弱しくなってしまった。
湊はそんな私を見て安心させるように柔らかく笑う。


「仲間だからだよ」

「私と、湊が?」

「うん。だから無償で助ける。俺もこの町の人に助けてもらったから」


そのときのことを思い出しているのか、湊は遠い目をした。

彼にどういうことがあったのかは全くわからない。
だけどそう話す湊は嘘を言っているようには見えなかった。