たったそれだけだったのに。 「…え!?もしかして泣いてる?」 「っ泣いてねーよバァぁあーか!」 「はぁ!?誰がバカ!?」 俺は生まれて初めて、痛いとか、悲しい以外の感情で目の奥が熱くなるのを感じた。 …何だよこれ、マジで… 「ねぇ中川」 絶対顔を見られまいとする俺の背中に、広瀬が声をかけてくる。 「やめんの、もったいなくない?ふつーに。だって中川めっちゃバスケうまいじゃん。それに、バスケ大好きじゃん? 何があったか知らないけど、好きなものって、続けたもの勝ちなんじゃない?」