誰よりも、愛してる

「でもさ、虎太郎も知菜も恋愛に興味、無いんでしょ? 特に虎太郎は断るの面倒ってボヤいてんだし、いっそのこと仲良しな二人がくっついちゃえば一番良いと思うけどな?」
「いやいや、それだけの為に付き合うとか、それは違うでしょ?」
「そお? 別にさ、本当に付き合わなくてもいいじゃん。フリだけでもさぁ」
「フリ?」
「そうそう。二人は元から仲良いんだし、うちら同学年の中じゃ、未だに二人は実はカレカノ同士なんじゃないかって噂もあるんだよ?」
「え? そ、そうなの?」
「そうだよ。だから告ってくるのは先輩とか後輩とか他校生で、この学校の同級生は告って来ないでしょ?」
「いや、それは単に興味が無いだけだと……」
「違う違う。虎太郎を良いなって言ってる人はいるよ。けど、二人が仲良過ぎて、入り込む余地が無いって分かってるから告って来ないんだよ」

 充希の話は初耳だった。

 そして、それを聞いているのかいないのか、私の斜め前の席に着いた虎太郎はスマホでゲームを始めている。

「ま、虎太郎がそれでいいならいいけどさ、これ以上告白して振られる人を増やすくらいなら、告白させない状況を作るのも一つの手だと思うよってこと」

 要は充希は私と虎太郎が恋人のフリをすればいいと言っているのだ。

 恋人のフリなんて、そんなの嫌だ。

 私は、フリなんかじゃなくて、本当の恋人同士になりたいのだから。

「げっ、もう昼休み終わりかぁ。五限目って何だっけ?」

 昼休み終了のチャイムが鳴り、五限目の授業が何かを聞いてくる充希。

「数学でしょ? しかも小テストのおまけ付き」
「そうだった!  少しは復習しとくか。それじゃ、またね」

 小テストがあることを思い出した充希は少しでも勉強する為に早々に自分の席へ戻って行った。

 それを見送った私が数学の教科書を出しているさなか、スマホに目を向けたままの虎太郎が、「なぁ」と声を掛けてきた。