素直と天然と少しの頑固を加えて

個人面接までこぎ着けた。
増田さんの言っていたことが気にかかる。
一度会って話が聞きたい。

連絡を入れると、明るい声が聞こえてきた。
｢やっぱり残ったな｣
やっぱりって、本当に判ってたのか？

仕事帰り、この前の店で落ち合うことにした。
少し待ったが増田さんは来てくれた。
｢これから入社する君に話して良いのか迷ったけど、俺だったら聞いておきたいと思って…、信じても信じなくても自分で判断して｣
前置きをして話してくれた。
鈴木部長は野心家で本社のフランスから来てる社長、いい人なんだけどマイペースで…、そんな社長が気に入らない。
自分がその椅子を狙ってる。
あと、娘の結婚相手をずっと探していたんだけど、今年入社がラストチャンスとばかりに君に絞って、自分の派閥に入れようとたぶん思ってる。
清水部長は危機感が無い社長の子分って感じ。
どっちについても良いんだけれど、問題は本社のブランド力だけで持ってるのに、商品開発もまともにやってない。今有る商品はお高めで売り上げが伸び悩んでる。
それでも経費は使い放題。インターンシップの時や昨日、今日のお弁当やお土産、かなり良いでしょ。
羽振りの良い時代を忘れられないでいる。
今に、子会社から日本支店になって人減らしとかになると思う。
商品開発も頑張ってないようだし。