エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 二週間ほど前から、柊哉さんの様子がおかしい事には気づいていた。よそよそしいというか、避けられているような...表面上はいつもと同じだと思う。だけどそれが逆に不自然で、取り繕っている様に見えてしまう。
 考えてみれば、彼が初めて私に弱さを見せてくれたあの日からだったと思う。あの時は、心の奥まで見せてくれた気がしてすごく嬉しかった。何もしてあげられないけれど、痛みを分け合えたことが嬉しかったのに...。
 実際彼が忙しいのは事実で、他院からオペの依頼があり最近は外出の予定も多くさらに多忙を極めている為、私もほとんど会えていない。そして、その病院には彼と幼馴染の外科医の女性がいて、二人は許婚らしい...そんな噂も聞いた。

 季節は二月下旬に入り、私にとっては花粉が気になり始める時期。仕事終わりに結城先生の外来で薬をもらい外に出ると、スマホにメッセージが届いていた。
 それは柊哉さんからで、オペが終わるまでの間向こうの病院の近くに泊まる為しばらく家には帰れない、そんな内容だった。
 私も、おばあちゃん達の家に帰ろうかな...。オペが終わったら、本当に戻ってきてくれるの...?
 彼の事は信じているしもちろん待つつもりだったけれど、やはり一人でいるとネガティブな方に考えてしまい心も身体も休まらない。
 マンションに帰り荷物を詰めながら思い出すのは、初めてこの家に来た時の事。あの時は本当にただ一時的に同居するだけだと思っていたのに...こんなにも彼を愛してしまう事になるなんて...全く想像もしていなかった。
 色々な出来事が思い出されて、寂しくて堪らなくなってくる。もしこのまま彼とお別れする事になったら、私はきっともう二度と人を好きになる事はない。