エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

 院長室を後にし、エレベーターに乗り込むと扉が閉まった途端にぎゅっと強く抱きしめられた。
 「優茉、ありがとう」
 「いえ、私は何も。でも...よかったです、本当に」
 「ああ、全部優茉のおかげだよ」
 まさか、院長に謝罪をされるとは思ってもいなかった。それに北条さんが私の話をされていた事も驚いたけれど、彼女のおかげもあって受け入れてもらえた気がする。
 そして、院長と柊哉さんの距離も前より少し近づいたように見えた。院長はきっと、柊哉さんの為にも必死にお仕事をされて来たんだと思う。幼い頃にそれを理解する事は難しいけれど、ようやくそれが彼にも伝わったようだった。良かった、二人の関係が壊れなくて...本当に良かった。

 お風呂を出てリビングに戻ると、彼はタブレットを膝に置きソファに座ったまま眠ってしまったようで、側まで行っても起きない。
 ...まつ毛長いなぁ。初めて明るい所で寝顔を見たかもしれない。それにしても、改めて見るとパーツも配置も完璧に整いすぎている。寝顔まで綺麗なんて...ちょっとずるい。肌も綺麗でつい近くでまじまじと見つめてしまい、唇が目に入ってドキッとした。
 力が抜けて少し緩んでいる唇...。触れてみたいという衝動に駆られ、人差し指でそっと唇をなぞる。柔らかい...そう思った瞬間、パチっと目が開いて手首を掴まれた。
 「っ!ご、ごめんなさい。つい触ってみたくなっちゃって...」
 「いいよ?いくらでも触って。俺の全部はもう優茉のものだから」
 かぁっと顔が熱くなるのをはっきりと感じる。きっとすっぴんの顔は耳まで真っ赤だろう...。パッと離れて顔を見られない様にバスルームまで背中を押して行った。
 はぁ、ドキドキした...。帰ってきてからお料理中も片付けている時もずっとハグしていたりくっついていたし、なんだか今日の柊哉さんは一段と甘い...。