エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

柊哉side
 俺が帰宅すると優茉は夜ご飯を作ってくれていた。久しぶりにゆっくり過ごせることが嬉しくて、簡単な手伝いをしながら料理中も彼女のそばにいたがどこか様子がおかしい。
 目を合わせてくれない上に、崩しかけていた壁をまたきっちりと立てられた様に態度はよそよそしい。
 そして、洗い物を終えた優茉の口からでた言葉は...
 「あの、私一度家に戻ろうと思います。しばらく空けていたので掃除もしたいですし、服も薄手のものしか持ってきていなかったので...」そう言いながら、伺うように上目遣いで俺を見ている。
 「じゃあ俺も一緒に行くよ。荷物も車で運んだ方がいいし、掃除も手伝うよ」
 「いえ、数日はそっちに帰ろうかと...」
 どうやら優茉の意思は固いようだ。本当は引き留めたい気持ちでいっぱいだが...きっとここは彼女の意思を尊重するべきなのだろう。
 「わかった、じゃあ荷物を運ぶ時は必ず連絡して。あと、マンションまでの道は人通りも少なくて心配だから、時間が合えば送っていく」そう言うと、優茉は少し困ったような顔をした後で笑顔を作る。
 「大丈夫です、心配しないで下さい」

 無理しているような作った笑顔が、頭に引っかかる。だが、優茉の真意を探る材料もない今の俺にはどうする事もできない。
 物理的な距離が心の距離とも比例してしまったのか?今まで積み上げた物もゼロになってしまったのだろうか...。
 優茉が眠った頃ベッドに入り、そっと頭を撫でその手を頬に添えると、安らいだ表情で擦り寄ってくる。思わず抱き締めてしまい、寝返りを打とうとする彼女を腕に収めた。優茉はまたここに戻って来てくれるのだろうか...。このまま同居を終わらせるつもりなのか...?