エリート脳外科医の長い恋煩い〜クールなドクターは初恋の彼女を溺愛で救いたい〜

柊哉side
 「それは承諾って事でいい?」
 「はい」
 「ありがとう。これからよろしく、優茉」そう言って右手を出すと、少し驚き躊躇いながらもそっと両手で俺の手を包む様に握手を返してくれた。
 まだ少し困惑しつつも、頬をピンク色に染め微笑んでくれた優茉が頭から離れない...。そっと握り返してくれた手の感触も、はっきりと残っている。じわじわと胸の奥から温かいものが湧き上がってくる感覚も。この懐かしい感覚は...今でもはっきりと覚えている。
 十一歳の俺に、彼女が四葉のクローバーをくれたあの時。あの時と同じだ...

 それから数日後、三年振りの場所を訪れた。
 幼馴染二人とよく来ていたバーに入りドアを開けると、カウンターにはすでに翔が座っていて「柊哉!こっち」と手招きしている。馴染みのマスターにも挨拶をしながら隣に座った。
 「久しぶりだな、三年振りの日本はどうだ?」
 「家と病院の往復しかしてないけど、安心感みたいなものはあるな。それより翔はついに副社長か」
 「それなりに時間はかかったけどな。自力で成果上げて幹部のおっさん連中を黙らせてやったよ」
 「ははっ、さすがだな」
 幼馴染の一人である堂上 翔(どうじょう かける)は、業界最大手の医療メーカーDメディックス社長の長男。昔から負けん気が強く、俺とも様々な事で競い合ってきた良きライバルで向上心に溢れたやつだ。
 先に二人で乾杯し仕事の話や昔話をしていると、一時間ほど経ってようやく三人が揃った。
 「遅れてごめんね!最後の案件が長引いちゃってさ。柊哉おかえり!」そう言って俺の隣に座ったのは、もう一人の幼馴染で弁護士の相馬 伊織(そうま いおり)。こっちは翔とは正反対で、いつも穏やかで平和主義。昔から俺達がヒートアップした時は伊織が間に入って宥めてくれていた。
 性格は正反対だか、俺達は幼稚舎からの親友で大人になった今でも度々このバーで飲みながら色んな話をする仲だ。