守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

 目をつぶりながら黙って聞いていた零様がようやく目を開いた。

「ああ、俺は非情な人間だからな。お前を殺すためなら、部下をも見殺しにする」
「──っ!!」
「ふふ、その冷酷さ。僕は大好きなんだよね~。君は失ってばかりで可哀そうだね。捨てきれない情が君を苦しめて、傷つける」
「黙れ」
「怒った? ふふ、凛ちゃんももうすぐ僕の妖気に負けて、闇に落ちていく。その時君はどうするのかな。また殺すのかな」

 嬉しそうににやりと笑った灯魔に、私は勢いよく飛び込んで守護刀を振りかざす。
 わずかに彼の右腕をかすめて、灯魔を傷つける。

「そっか、零が君に守護刀を授けた意味をようやく理解したよ」

 灯魔は右腕の傷を自らの舌で舐めると、私に視線を向けた。

「私は、妖気になんて負けない。零様の役に立ち、傍にいる」
「ふふ、愛……かな? 可愛い感情、僕大好きなんだ。愛って言葉。じゃあ、試してみる? 僕の妖気を超えられるのかどうか」
「……え?」
「──っ!! 凛っ!!」

 零様の叫びが耳に届いた時、私は灯魔に距離を詰められていた。
 灯魔は私の頬をひと撫でして、耳元で囁いた。

「さあ、勝負だよ」