守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

「君の前にその刀を持っていた子を殺したのは、僕だ。その刀は僕の一部から作られたもの」
「──っ!!」
「君たち人間に扱えるわけがない。その刀は生きている。刀の妖気がじわじわと持ち主を蝕み、やがて殺す」
「そんな……」

 そういえば私はこの守護刀の事を何一つ知らない。
 彼の言っている事は本当なの?

「あいつの言っていることは本当だ」
「零、さま……!」

 屋敷の方から現れた零様を見て、再び嬉しそうな表情を浮かべる灯魔。

「君はまたあの子の時みたいに、凛ちゃんを殺す事を選択したんだね」
「え……」

 零様は何も言わずに立っている。
 私の脳内で伊織様の言葉がよみがえった。

『お前はいずれ捨て駒にされる。あいつに』

 もしかして、伊織様が私に言っていたことってこの守護刀が関係しているんじゃ……。

「零、君は守護刀の妖気に体を乗っ取られたあの子を見殺しにした。そして、次の犠牲者はそこにいる凛ちゃん」
「……」

 どうして零様は何も言い返さないの?
 本当に伊織様や灯魔が言っているように、香月様を見殺しにしたの?

「零様……」