守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

「すみません……」
「だからこそ、目が離せない」

 零様の少し冷たい手が、私の頬に添えられた。

「お前を俺のものにしたい」
「──っ!」
「この先どんな事かあろうと、お前を離す気はない」
「でも、私の想いは邪魔になるだけで……」
「俺は女としてお前を見ている。お前をどの男に譲る気もない」

 その言葉と共に、私は両手を捕まえられてしまう。
 背中が壁についていて、足で逃げられないようにされた。

「でも、その、えっと零様には綾芽様がいて……」
「お前が好きだ」
「──っ!」

 零様が私を好き……?
 そんな事が許されるのだろうか。
 私の想いが届く事が、本当にあってよいのだろうか。

「俺の隣でずっといてくれるか?」

 いつものような命令でもない、冷たい声でもない。
 冷静で頭が良くて、迷いのない彼が、今日は私に対してすがるような目をしている。
 こんな顔、初めて見た……。

 私はどうしたい?

 どうすればよいのか、自問自答する。

『オマエハ……シアワセニナレナイ』

 妖魔の声がよみがえる。
 それでも、私は、私は……。

「凛、来い。俺と共に」
「私は……」