守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

「好きになってはいけないのに、どんどん好きになる。怖くてたまらなくて、でもあなたが私に声をかけてくれるたび、嬉しかった」
「ああ」
「零様の行動の一つ一つにドキリとして、幸せになれました。だからこそ、絶対にないあなたとの未来を夢見てしまうから、苦しいんです。辛いんです。でも、あなたには「運命」の相手である綾芽様がいる」

 少しの沈黙があって、私はそっと手を降ろす。

 助けてほしい、と言いたくなったその唇を噛んで心を抑え込む。

「凛」
「……え?」

 名前を呼ばれた瞬間、私の唇は零様によって塞がれていた。
 甘くて柔らかい彼の唇に塞がれていると気づいたのは、少し後──。

 唇はゆっくりと離れて、彼の腕の中に私の体が収まった。

「俺はとんでもないやつを拾ったらしい」
「……え?」
「生まれた時から守護王として生き、誰もが守護王の天城零にひれ伏した。ただ、お前だけが違った。お前は俺を一人の人間として見て、役に立ちたいと言った。共に闘いたい事を願った」

 そうだ、私は叶わぬ恋を抑え込むように、零様の役に立つことを願った。

「お前は真っすぐすぎる。見ていて危なっかしい」