守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

「零様……どうしてここに」
「お前に会いに来た」

 私は彼に背を向けて少し俯く。

「帰ってください」

 涙声で私は肩を震えさせて唇を噛みしめる。

 零様に合わせる顔はもう、私にはないんです……。
 あなたへの想いに心を乱し、たった一つのやるべきことさえ見失ってしまう。
 そのような人間は、あなたの傍で仕えるのに相応しくない。

 うす暗くなった部屋に明かりを灯そうと歩いたその時、私の体は大きな体に包み込まれた。

「悪かった」
「──っ!! 零、さま……」
「お前を傷つけた。お前が去っていく後ろ姿を見て、後悔した。戻ってきてほしい」

 どうしてそんなことを言うの?
 私はあなたから離れたいのに、あなたは私の事を何とも思っていないのに。
 どうしてそんなに好きにさせるの?

「私は隊長として、補佐役として失格です。これをもう、持つ資格はありません」

 懐から守護刀を出すと、それを両手で零様に差し出す。
 この刀を返せば、零様と繋がるものは何もなくなる。

「それはもうお前のものだ」
「いいえ、私にこれを扱いきれません」