「──っ! 零様、何かございましたでしょうか」
「……」
「零様……」
零様の傍に立っている護衛役の腕には、小さな女の子がいる。
どこかの村娘のように見えるが、膝に怪我を負っているのが見えた。
すると、今日共に巡察に出ていた部下が私に声をかける。
「隊長、あの子、妖魔に襲われていたんで、屋敷まで連れ帰りました」
「──っ! まさか……」
「はい、隊長が妖魔を追って行かれた時に助けた子供です。屋敷が近かったので、応援を呼び、池で流されているところを助けました」
その瞬間に自分の愚かさを知った。
私は妖魔に気を取られてしまい、助けるべき人を見失った。
もし、彼が屋敷へ助けを呼びに行かなかったとしたら……?
女の子はあの川の流れの速さでは、もしかしたら力尽きてしまったかもしれない。
あの流れでは大人一人でも助けられないため、応援を呼んだという彼の判断は正しい。
そしてその指示を本来しなければならなかったのは私だ……。
「凛」
「はい……」
「なぜ判断を誤った?」
「……」
「凛」
「……答えたくありません」
あなたへの想いを言うことはできない──
「……」
「零様……」
零様の傍に立っている護衛役の腕には、小さな女の子がいる。
どこかの村娘のように見えるが、膝に怪我を負っているのが見えた。
すると、今日共に巡察に出ていた部下が私に声をかける。
「隊長、あの子、妖魔に襲われていたんで、屋敷まで連れ帰りました」
「──っ! まさか……」
「はい、隊長が妖魔を追って行かれた時に助けた子供です。屋敷が近かったので、応援を呼び、池で流されているところを助けました」
その瞬間に自分の愚かさを知った。
私は妖魔に気を取られてしまい、助けるべき人を見失った。
もし、彼が屋敷へ助けを呼びに行かなかったとしたら……?
女の子はあの川の流れの速さでは、もしかしたら力尽きてしまったかもしれない。
あの流れでは大人一人でも助けられないため、応援を呼んだという彼の判断は正しい。
そしてその指示を本来しなければならなかったのは私だ……。
「凛」
「はい……」
「なぜ判断を誤った?」
「……」
「凛」
「……答えたくありません」
あなたへの想いを言うことはできない──



