守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

 一瞬痛みで傷を負った脇腹を押さえたが、すぐに手を放して懐刀を抜き、小さいほうの妖魔へとそれを投げた。

「きやああああああーー」

 少し高めの断末魔が響き渡り、小さい妖魔は消えていく。
 今度は大きい妖魔に向き直って、守護刀を握り締めて、相手の懐目がけて走り込んだ。

 地面を抉り取るほどの鋭い攻撃をいくつか交わして、相手との距離を詰める。
 そうして、先程拾った砂を相手の大きな一つ目にかけた。

「ぐああっ!」

 相手は苦しそうに声をあげると、ジタバタと暴れ出す。
 その隙に相手の懐に入ると、私は両手で一気に妖魔の心臓を目がけて守護刀を突き立てた。

「ぐおおおーーーー!」

 大きな叫びと共に、妖魔は煙になっていく。
 完全に脅威が去ったことに安心すると、私は全身の痛みを感じてその場に膝をついた。

「ん……いたっ……」

 急いで脇腹に血止め薬を塗り、腕の着物を千切って包帯代わりにする。
 どうやら右足にも大きな切り傷を作ってしまっていたようで、私はその足を引きずりながら屋敷へと戻った。


 屋敷へ戻ると、玄関のところに零様が立っていた。