守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

『ふははは! 俺を押し倒した上に池に落とすとはな、面白い』

 池に落ちた時に髪をかきあげた時の仕草も。

『男を誘惑するのがうまくなったな』

 私を見るその鋭くも優しい瞳も。


 私はこんなにも零様の事が好きでたまらないんだ。
 それでも好きだからこそ、身を引いておいたほうが彼の、そして大好きな姉のように慕う彼女のためになる。


「見つけた」

 私は裏道に潜んで傷を修復しようとしている妖魔を発見する。
 すかさず、それの後ろから背中に勢いよく守護刀を突きたてた。

「ぐおおおおおおーーー!」

 雄たけびをあげながら、妖魔はこちらを向く。
 妖魔は両の腕を鋭い槍のように変化させると、私に真正面から二突き繰り出してきた。
 それをすかさず後ろに飛び避けたが、それが愚策だった。

「──っ!! うっ!!」

 敵の妖魔は二体に分裂しており、もう一体が私の背後に回っていたのだ。
 その一体に後ろから攻撃を仕掛けられた私は、避けきれずに脇腹を負傷する。

 止血している暇もなく、次の攻撃が仕掛けられてくる。