守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

 もっと、もっとお役に立つ……。
 零様のお役に立つことこそが私の生きる道。

「霜月隊長、ちょっと待ってください」
「待ちません。妖魔はこっちです」
「しかし……」
「私一人で行くので、あなたはそこで待っていてください」
「霜月隊長!」

 部下が私を呼び止める声はどんどん小さくなっていった。
 確か、妖魔はあっちにいったはず。
 急がないと……!

 大通りを駆け抜ける私の脳内に声が響き渡る。


『オマエハ……シアワセニナレナイ』

 やめて……。

『オマエハイラナイニンゲンダ』

 わかってる、そんなことは最初から。
 私は元々拾われ子で本当の親にもいらないと言われた人間だ。
 それをご慈悲で救っていただいたまで……。


『年が近い女の子がいてくれて嬉しいです!』

 私も嬉しかったです。
 綾芽様のことも大好きだから……だからっ!!

『たくっ、お前は』

 いつも言葉少なくて、でも優しくて、だからこそ誤解されやすくて……。

『今日がお前の生まれた日とする。十一の月の三日』

 私に誕生日をくれたことも。