守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

『あれは畑で採れた野菜と、あと豆腐を乾燥させて水に戻して煮たものです』
『豆腐なの……? すごい美味しかった……』
『私も好きです』
『美味しいわよね! あ、あと一緒に入ってた豆も美味しかったわ』
『食感が良いと料理番の方に伺いました』
『どうして零様は召し上がらないのですか?』
『味が好かん』
『それがいいのよ! ねえ~凛』
『はい! 私も味が好みです』

 そんな会話をしたこともあった。
 それでも、儀式が来るたびに思い知らされる。


『守護王と桜華姫の築き上げた栄華に、心より祝福いたします』

 貴族様が式典用の衣装に身を包んだ二人の前で、何百年も続く言ノ葉を捧げる。
 守護王は剣を、桜華姫は鏡を持って天を仰いだ。

『我らを守り給え』
『世に安寧をもたらし給え』

 二人がそれぞれ言い終わると、その場にいる全ての者が跪き祈りを捧げる。
 それを終えた後は、宴の始まりとなる。

『やはりお二人はこうして並んでいると、絵になりますな!』
『さすが偉大なるお方の生まれ変わりであらせられる!』

 二人へのいくつもの敬いの言葉に対して、零様は酒を飲んで何も言わない。