守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

 整った顔立ちに長いまつげ、長い黒髪に雲間から顔を出した月の光が当たって輝いて見える。
 持っていた書類を胸元にぎゅっと握りしめ、私は俯いた。

 ああ、やっぱり私は彼が好きだ……。
 「運命」の相手がいる彼だとわかっていても、好きになってしまった。
 零様の仕草も、声も、優しさも、全部が好きでたまらない。

 その艶やかな黒髪に触れたくて、私はつい手を伸ばしてしまった。
 指を滑らせたその瞬間、低い声が私の耳に届く。

「お前は男の寝込みを襲うのが趣味なのか」
「──っ!!!!」

 私は慌てて手を引いたが、その反動で体が後ろに倒れていく。

「あっ!」
「──っ!」

 思わず声が出た。
 そして倒れる直前に零様の腕に寄って支えられる。

「たくっ、お前は」

 零様に支えられた後に、後ろにあった机の角で頭を打ちそうになっていたことに気づいた。
 助けられたあの日のように逞しい腕に支えられて、私は思わず赤面する。

「ありがとうございま……っ!!」

 零様にお礼を言って離れようとした時、彼に寄って押し倒されてしまう。

「零、さま……?」