守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

 先程台所に行ってはちみつ緑茶をもらったが、まだ喉の違和感は取れない。
 喉に手をやってさすりながら、もう片方の手で次の申請書を書類の束から取り出した。

 これ、どういう意味なんだろうか。
 他の書類を当たってもわからない記載があり、私は顎に手をやりながら考え込む。
 ちらりと外に目をやると、もうすっかりと日が落ちていた。

 確認すると、その記載事項はどうにも零様へ尋ねなければならなさそう。
 私は立ち上がって零様の部屋へと向かうことにした。


「零様、今よろしいでしょうか?」

 ふすまの外から尋ねてみる。
 しかし、少し待ってみても返答がない。

「零様、いらっしゃいますか?」

 ──やはり、返事がない。
 私はそっと中の様子を窺うが、部屋の中は暗く何も見えない。
 ゆっくりと部屋に入っていくと、奥にある書斎机で頬杖をつきながら目を閉じている零様がいた。

「零様……?」

 静かに寝息を立てている彼を見て、思わず心臓が飛び跳ねた。
 いつも厳しい彼の可愛らしい寝顔は、私の恋心をくすぐって鼓動を速くさせる。

 少しならいいだろうか。
 私は彼の寝顔をじっと見つめてみた。