守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

 私は真正面から相手に切りかかる。

「ぐあっ!」

 仰け反った相手の視線は、私から逸らされて綾芽様に向けられた。
 相手は左手をかざして綾芽様へ攻撃を放とうとする。

 私は重心を下にすると、一気にその腕を蹴り上げた。

 綾芽様から照準がずれた相手の攻撃は、部屋の天井を突き抜ける。

「邪魔するなあああー!」
「それはできない」

 私には零様から授かった、綾芽様を守るという使命がある。
 絶対に、誰であっても彼女を傷つけることは許さない。

 私は蹴り上げた足の勢いのまま体を一回転させ、相手の心臓目掛けて一気に守護刀を突き立てた。

「ぐあああああーー!」

 苦しい声をあげた後、彼は一気に脱力してその場に倒れる。
 わずかに動かした腕も虚しく、そのまま息絶えた。
 動かなくなった彼は、そのまま煙のように消えていく。


 息を整えながら、脅威が去ったことを確認すると、私は守護刀を鞘に収める。
 その瞬間、結界を解いた綾芽様が私に駆け寄った。

「よかった……凛……」
「お怪我はございませんか?」
「あなたが守ってくれたから、大丈夫。それより、急いで手当てをしましょう」