守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

「綾芽様、自らのまわりに最大強度の結界をお願いします」
「でも、凛が!」
「私は大丈夫ですから!」

 綾芽様が結界を張れるのは二つのみ。
 屋敷の結界と、自身の半径5m程度の範囲の結界の二つだ。
 しかし、結界を二つ張ってしまうとそれ以外の攻撃はできなくなる。
 ──つまり、防御に徹することになってしまう。

 それでも問題ない。
 攻撃の者がいる限り、綾芽様を第一に守ることができる。

 私は守護刀を横に振って、敵との距離を保った後、助走をつけて飛んだ。
 上から振り下ろした守護刀は相手の真上から、彼に襲い掛かる。

「うっざ……! んだよ、お前みたいなんがいるなんて聞いてねえよ。隠し里へ守護王向かわせたら手薄になるんじゃなかったのか!?」
「──っ! まさか、そのために里を……」
「まあ、あっちにはすでに僕の分身の魔狐斗が行ってるけどね。どうせ、里も滅ぼし……っ!!」

 私は彼の言葉を待たずしてもう一度切りつける。
 相手の右腕を切り落とし、すかさず二段突きで追撃した。

「──っ! なんだよ、あんた」
「絶対に綾芽様を守る。それが私の役目」