「皆さん、また今年もこの日を迎えることができました。1000年前に『桜華姫』と『守護王』によって平和がもたらされたあの日から、絶え間なく続くこの穏やかな日が、これからも続きますように」
籠から桜の花びらを掬いあげると、綾芽様はそれをふわっと舞い上がらせる。
それを合図に貴族様たちはそれぞれに声をあげて、この良き日を祝う。
舞い散る花びらの景色の中、私は彼を見つめる。
『守護王』天城零様──。
六年前に私を妖魔から助けてくださり、そして拾ってくださったお方。
あの日からずっと密やかに彼を恋い慕ってきた私は、彼の端正な顔に視線をやった後、自分の小さな手の平を見つめる。
落ちてきた桜の花びらを眺めて、もう一度彼に視線を向けた。
私の命の恩人、そして、私の想い人。
慕い続けて彼を想うだけで胸がいっぱいになる。
私は胸元を握り締めて、六年前に私を見つけてくださったその瞳を見つめる。
けれど、彼の瞳に私が映ることはない。
代々『守護王』が結ばれるべき「運命」の相手は、1000年前に共に魔物を封印して結ばれた『桜華姫』の生まれ変わりと決まっている。
籠から桜の花びらを掬いあげると、綾芽様はそれをふわっと舞い上がらせる。
それを合図に貴族様たちはそれぞれに声をあげて、この良き日を祝う。
舞い散る花びらの景色の中、私は彼を見つめる。
『守護王』天城零様──。
六年前に私を妖魔から助けてくださり、そして拾ってくださったお方。
あの日からずっと密やかに彼を恋い慕ってきた私は、彼の端正な顔に視線をやった後、自分の小さな手の平を見つめる。
落ちてきた桜の花びらを眺めて、もう一度彼に視線を向けた。
私の命の恩人、そして、私の想い人。
慕い続けて彼を想うだけで胸がいっぱいになる。
私は胸元を握り締めて、六年前に私を見つけてくださったその瞳を見つめる。
けれど、彼の瞳に私が映ることはない。
代々『守護王』が結ばれるべき「運命」の相手は、1000年前に共に魔物を封印して結ばれた『桜華姫』の生まれ変わりと決まっている。



