守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

「綾芽様、お下がりください」

 私は綾芽様を守るように膝を立てる。
 右手で綾芽様を囲うようにしながら、神経を研ぎ澄ませて気配を探った。

「綾芽様、結界への反応はございますか?」
「わずかに。妖魔は大きくはないわ」
「かしこまりました」

 綾芽様はその身を媒介にして、屋敷全体を守る結界を張っている。
 その結界に触れたということは、この屋敷にすでに侵入したということ。
 妖魔は大きさが大きいほど強い妖気を纏っている。
 だが、この中で一番やっかいなのが姿形、大きさを自由に変化することができる「妖術使い」。
 彼らは妖魔の中でもトップクラスの知能を誇り、私達を苦しめてきた。

「──っ!」

 私はそのあまりの鋭い気配に守護刀に手を当てる。

 確実にそこにいる──

 思わず息を止めながら、ゆっくりと部屋のふすまに手をかける。
 目で綾芽様には後ろに下がるようにお願いをして、私は一気にふすまを開けた。

「──っ!!」

 その瞬間、私の首に手をかけられ、部屋の奥の壁まで一気に押さえつけられた。

「凛っ!!」