陶磁器と花が好きな綾芽様は、毎日その日のご気分で花を生けて飾っていらっしゃる。
「今日のお花は百合ですか?」
「そうなの。綺麗で立派な百合が咲いたから、それを生けてみたの」
「素敵でございます」
藍色の花器に生けられたそれに目をやる。
綾芽様によく似た桃色と白色の百合が美しい。
「よかった。凛にちょうど渡したいものがあったの」
「──? なんでしょうか」
薄紅色の着物に身を包んだ綾芽様は、桐の棚から漆塗の小物入れを取り出す。
私へ一緒に座るようにと促すと、綾芽様は嬉しそうな表情をなさった。
「口を開けてちょうだい」
「え……?」
「いいから、早く開けて」
「はい……」
私は言われるがまま口を開くと、綾芽様の手によって何かを口に入れられた。
「──っ!」
何かわからず戸惑っていると、段々甘い味が口いっぱいに広がる。
「甘い……」
「そうでしょう!? これね、金平糖というそうなの。零様にいただいて、凛にもあげたかったの」
嬉しそうに語る綾芽様を見て、今度は心がチクリとした。
甘い味なのに、悲しい。
「今日のお花は百合ですか?」
「そうなの。綺麗で立派な百合が咲いたから、それを生けてみたの」
「素敵でございます」
藍色の花器に生けられたそれに目をやる。
綾芽様によく似た桃色と白色の百合が美しい。
「よかった。凛にちょうど渡したいものがあったの」
「──? なんでしょうか」
薄紅色の着物に身を包んだ綾芽様は、桐の棚から漆塗の小物入れを取り出す。
私へ一緒に座るようにと促すと、綾芽様は嬉しそうな表情をなさった。
「口を開けてちょうだい」
「え……?」
「いいから、早く開けて」
「はい……」
私は言われるがまま口を開くと、綾芽様の手によって何かを口に入れられた。
「──っ!」
何かわからず戸惑っていると、段々甘い味が口いっぱいに広がる。
「甘い……」
「そうでしょう!? これね、金平糖というそうなの。零様にいただいて、凛にもあげたかったの」
嬉しそうに語る綾芽様を見て、今度は心がチクリとした。
甘い味なのに、悲しい。



