守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

「零様は化け物なんかじゃありません! あの人は私を救ってくれた。妖魔から守ってくれた……優しい人だ!」

 ひどく冷たい声を放って、笑顔も見せない。
 それでも零様は誰よりも強くて、そしてみんなを守ってる……。

「はっ、はは。お前はあいつを恋い慕ってるもんな。馬鹿馬鹿しい。結ばれないんだぞ、あいつとは、永遠に! 守護王の生まれ変わりは桜華姫の生まれ変わりと結ばれる! お前は選ばれない、あいつに!」
「それでもっ!! 私はあの人の役に立ちたいっ!」

 そんなことは言われなくてもわかってた。
 零様は綾芽様と結ばれて、この国を平和に導く使命がある。
 私の想いは届かない、届くことはない。
 だからこそ、あの人の盾となり矛となって役に立つ。
 それが……。

「それが、私の生きる道だから」

 私は体を丸くさせて膝をあげると、そのまま勢いよく相手の腹部を蹴る。

「んぐ……っ!」

 苦しそうな声をあげた彼の一瞬の隙を見て、彼の拘束から逃げた。
 相手はすかさず私に大きく刀を振り上げてくる。
 その刀を懐刀で受けると、そのまま相手の力を利用してくるりと身を翻した。

「くそっ!」