守護王の最愛~運命を壊す禁断の恋は、祝福の淡雪を降らせる~

 夜の涼しい風と共に、笛の音が鳴り響く。
 心地よいその曲に合わせて太鼓が弾んで聞こえてきた。

 煌びやかな衣装を着た女性たちが、この宴のために庭作られた敷舞台の上で舞を踊っている。
 多くの貴族様たちも出席されている祝いの席には零様と、その横に綾芽様がいらっしゃった。

 伊織様に、お二人の護衛役を頼まれたけれど私で本当に大丈夫なんだろうか。
 正座をして少し離れた部屋の隅に座っていると、視線の先の零様が私に合図を送る。
 私は急いで宴を邪魔しないようにしゃがみながら、急いで駆け付けた。

「いかがいたしましたか?」
「もっと近づけ」
「……へ?」

 きょとんとしてしまった私の胸元を掴み、零様を私をぐいっと自らに引き寄せた。

「──っ!!」

 いきなり近づく零様に私の鼓動は大きく跳ね上がる。
 その瞬間、零様の低い声が私の耳元で聞こえた。

「懐刀は?」
「……え?」

 戸惑いの声をあげる私に、鋭い視線が送り込まれる。
 無言の圧力に急いで答えた。

「持っております」
「台所へ行け」
「……へ?」