「まだ俺らに用があるのか」
「あ、そんなふうにおっしゃっちゃあいけませんよ。実は、大事な話があるのですからね」
「はなし? いったいどういうことだ」
「実は・・、例のオランダ船のことなのです」
声を潜めて告げた。
「オランダ船だと? それはあのフライロート号のことなのか」
「もちろんです。船長はヨーハン・クレイブ、少々太って恰幅のいい赤毛の御仁ですな」
「知っているのか船長のことを。話してくれ、どこで会ったのだ?」
「この堺の船着き場ですよ。いや、私が会ったことは鹿島様には内緒なのです。でも、お二方の耳には入れたほうがいいと思いましてね」
マシューらの顔色をうかがいながら並べ立てる。
「私は商人でございます。鹿島様の家来ではありません。だからその、なんというのか、旨味のある外国船との取引に手をこまねいているのはもったいないと思ったのですよ」
探るように近江屋を見た。
語っているのは口先だけで、鹿島の手駒である可能性もある。どちらだろう。
「あのオランダ船は、堺の港に停泊しておりますよ。マストが折れたとかで修理に入っておりますがね。まあ何といっても外国船だ、修理の職人が相当苦労しているってわけで、かなり時間がかかっておりますがね」
これだけ言ってもまだ睨まれている。
近江屋はその疑念を晴らそうと、
「ほれこの通り」
懐から袋を出した。
「あ、そんなふうにおっしゃっちゃあいけませんよ。実は、大事な話があるのですからね」
「はなし? いったいどういうことだ」
「実は・・、例のオランダ船のことなのです」
声を潜めて告げた。
「オランダ船だと? それはあのフライロート号のことなのか」
「もちろんです。船長はヨーハン・クレイブ、少々太って恰幅のいい赤毛の御仁ですな」
「知っているのか船長のことを。話してくれ、どこで会ったのだ?」
「この堺の船着き場ですよ。いや、私が会ったことは鹿島様には内緒なのです。でも、お二方の耳には入れたほうがいいと思いましてね」
マシューらの顔色をうかがいながら並べ立てる。
「私は商人でございます。鹿島様の家来ではありません。だからその、なんというのか、旨味のある外国船との取引に手をこまねいているのはもったいないと思ったのですよ」
探るように近江屋を見た。
語っているのは口先だけで、鹿島の手駒である可能性もある。どちらだろう。
「あのオランダ船は、堺の港に停泊しておりますよ。マストが折れたとかで修理に入っておりますがね。まあ何といっても外国船だ、修理の職人が相当苦労しているってわけで、かなり時間がかかっておりますがね」
これだけ言ってもまだ睨まれている。
近江屋はその疑念を晴らそうと、
「ほれこの通り」
懐から袋を出した。

