はるけき きみに  ー 彼方より -

「それでしたら」
 八重だった。
「わが家においでくださいませ。皆さまはお嬢様とゆかりのある方々です。だからぜひおこしくださいませ」

 マシューとサジットが互いを見た。
 そこに厄介になるしかなさそうだった。

 さっき鹿島の家臣に聞かれたのだ。
「お前らはこれからどこへ行くつもりなのだ」
 鹿島に言い含められたのだろう、その行方を探っておけと。

「さあ、わからないな、だがそれを言う理由もないだろう」
「なっ、なんだその言い草は。我々にとってお前らの行動は筒抜けなんだ。あとから尾行していく影を忘れるなよ」

「へえ、だったら聞く必要はないじゃないか」
 と言ってから、
「Are you stupid or something?」

 侍が唖然とする、豆鉄砲を食らった顔になって、
「ああ、そうなんだ、そういうことなんだよ。いやそうなんだ」
 自分の頭をポコンとたたいた。 

 マシューとサジットは笑いをこらえる、紫音ら日本人は訳が分からず沈黙した。

 侍がどこか意気消沈し、背を丸めて去っていく。