はるけき きみに  ー 彼方より -

 と、そのときとき走り寄る者がいた。

「あの、お許しくださいませ」
 八重だった。

「お嬢様にご無体なことを。どうぞ私を身代わりに、どうぞ私を打ちすえてくださいませ」

「控えよっ、出過ぎたことをするな!」

 八重の顔にこぶしが飛んだ。
 弾き飛ばされるように倒れる。

「っ、八重」
 紫音がはい寄ろうとした、

 鹿島はそれを許さず肩を掴む。
 八重と同じように殴ろうとしたときだった。

「鹿島さまっ!」
 近江屋がなだれ込んできた。

「この者たちが、いきなり」

 近江屋の後ろにマシューとサジットが立っていた。
「これは、いったいどういうことだ」

「それはこっちが聞きたいことだ。鹿島殿、これはどういう事ですか」
 マシューが問うた。

 鹿島が一瞬狼狽する。
 マシュー達には別の顔を見せるはずだった。

「どういう事かと言われても・・・。いや、これは堺の役所に関する取り調べだ。あなた方が気にすることではないのだ」