はるけき きみに  ー 彼方より -

 鹿島がニヤリと笑った。
 長く紫音を見つめたあとで、

「それ以外にも何かがある、絶対に何かあるはずだ。今日はそれのすべてを答えてもらおうぞ」
「・・・・」

「あの建屋でなにをしていたのだ、どんなカラクリがあるのだ?」
「私は本当になにも知らないのです。ただ教えられたとおりに舵を動かした、それだけなのです」

「それを教えたのは?」
「父です。篠沢丹波です」

「やはりな」
 鹿島の声が低くなる。
「やはり首謀者はそなたの父であったのか」

 ・・しゅぼうしゃ?

「知っていることのすべてを言うのだ、言わねば身のためにならん、わかっておろうの?」

 上段から降りて紫音を見据える。
 次の瞬間胸ぐらをつかんだ。

 石川ら若い役人があっと声を漏らす。
 だが彼らは何もできない。

 鹿島は掴んだ胸ぐらをゆさゆさ揺らしてくる。
 執拗なそれに紫音の髪が乱れた。