はるけき きみに  ー 彼方より -

 部屋の扉がギーッと開いた。

「鹿島様のお出ましである。心して対面するように」

 紫音が深く頭を下げる。

「ほう、さすがは篠沢殿のご息女だ、美しいことだの」

 伏せた顔を覗き込んでから、
「今日の仔細は聞いておろう。あの建屋の水の操作についてだ。いや、実のところあの辺りの水は引き始めているそうだ。それなりの 効果はあったようだな」

「・・そうですか」
 ほっと息をついた。あの装置は無事に機能しているのだと安堵する。

「それで、肝心な排水の操作のことだが。こやつはどうしても聞き出せなかったようだな」
 ヒゲがびくんと身を縮めた。

「私の尋問には素直に答えるのだ。あの建屋でいったいどんな操作をしたのだ」
「あの操舵輪を回しておりました」

「ふむ。右へ二回、左へ三回また右へ・・と申したそうだな」
「はい」