はるけき きみに  ー 彼方より -

「さて、そろそろ奴らに会いに行こうとするか」
「奴らと申しますと?」

「異人らは客間におるといったな」
「はい、そして紫音は裏の屋敷でございます。そこで配下が尋問しておりますが、いったいどちらの部屋へ?」

「まずは紫音からだ。あのヒゲがどこまで聞き出しているのか怪しいものだ」
「・・はあ」

「あの建屋での操作は重要な意味を持っている。実際に著しい効果が出ているのだからな。それを手中にできたら堺の水利権を取ったも同じじゃ。なにかの秘策がある、だから今日こそは口を割らせたいのだ」
「さようでございますね」

「その後で異人たちに会うとしようかの。その頃にはだいぶ酒も回っているはずだ。積み荷の銃の事もたやすく口を割るかもしれんぞ」

「そして、あの異人にはやはり通訳の仕事も持ち掛けるべきかと」
「ふむ。今この堺には通訳がおらぬ。あちこちの商談に使えば儲けは計り知れないだろうな」

「まったく貿易船から得る利益は莫大なもの、その通訳でございますからね。濡れ手に粟のぼろもうけ、こんな甘い話はございません」

「こら、調子に乗るな。それを組織化するには細工がいる、世話役に賄賂も必要なのだ」
「わかっておりますよ、当面の軍資金はこの近江屋にお任せくださいませ。その代わりことが成った暁には・・」
「ふむ、お前の悪いようにはせん」

 鹿島が口角を上げ、近江屋も片方の頬でわらった。


         ◆  ◆  ◆