「おい、紫音、何をやっているんだ、そんな所で」
徳三という男だ。
彼はこの浜の漁師だった。
紫音が抱いている男を見た。
「い、異人じゃないか、こいつは」
驚愕して目を剥いている。
「そうなのよ。でも意識がなくて」
「ほっておけよ、異人とかかわりを持ったらろくなことはないぞ。それにどんな悪党かも知れないんだ」
「でも、満ち潮だからこのままだと死んでしまうわ」
徳三は紫音を見た。
波打ち際で抱き抱えているため、彼女もずぶ濡れになっている。
坐している彼女が水にのまれるのは時間の問題だ。
いざとなったら異人を置き去りにして逃げなければ。
自分がおぼれる前にあきらめるはずだ。
だが、潮にのまれていく彼を、紫音はじっと見ているのか。それとも目をそむけて走り去るのか。
どっちにしろ彼女の心に穴が開く。
罪悪感にさいなまれることが容易にわかる。
徳三はため息をついた。
「ええいっ、仕方がないな。どれ・・」
ぶっきらぼうに言って男を担ごうとした。
「重いな、こいつ普通の人間じゃないぞ」
担ぐのをあきらめ、引きずろうとする。
ある心理が働いていた。
徳三は紫音の前で力がある所を見せたかったのだ。
男の両脇に手を入れて動かしていく。
砂浜に、まるで亀が上陸したような跡が出来ていった。
◆ ◆ ◆
徳三という男だ。
彼はこの浜の漁師だった。
紫音が抱いている男を見た。
「い、異人じゃないか、こいつは」
驚愕して目を剥いている。
「そうなのよ。でも意識がなくて」
「ほっておけよ、異人とかかわりを持ったらろくなことはないぞ。それにどんな悪党かも知れないんだ」
「でも、満ち潮だからこのままだと死んでしまうわ」
徳三は紫音を見た。
波打ち際で抱き抱えているため、彼女もずぶ濡れになっている。
坐している彼女が水にのまれるのは時間の問題だ。
いざとなったら異人を置き去りにして逃げなければ。
自分がおぼれる前にあきらめるはずだ。
だが、潮にのまれていく彼を、紫音はじっと見ているのか。それとも目をそむけて走り去るのか。
どっちにしろ彼女の心に穴が開く。
罪悪感にさいなまれることが容易にわかる。
徳三はため息をついた。
「ええいっ、仕方がないな。どれ・・」
ぶっきらぼうに言って男を担ごうとした。
「重いな、こいつ普通の人間じゃないぞ」
担ぐのをあきらめ、引きずろうとする。
ある心理が働いていた。
徳三は紫音の前で力がある所を見せたかったのだ。
男の両脇に手を入れて動かしていく。
砂浜に、まるで亀が上陸したような跡が出来ていった。
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