はるけき きみに  ー 彼方より -

「・・それは」

「肝心なことである、迅速に答えるのだ」

 隠し通せないものを感じた。絞り出すように、
「操舵輪を数回まわすのです」

「ほう、どのように?」
「右に二回、次に左に三回、最後にまた右に一回というやり方です」

「右に二回、次に左に三回、最後にまた右に一回か。それでその他には?」
「それだけです。そうすると徐々に水が引き始めるのです」

「なぜ引き始めるのだ?」
「私にはわかりません。たぶん父がそのように細工をしたのだと」

 刺すような目で見られた。
 しかしなぜ水が引くのかは本当に知らない、だから答えようがないのだ。

「わしもその方法でやってみたのだ。しかし水は引かなかったぞ、まったく効果がなかったのだ」
「・・・・」

「今日、お前を下乃浜から呼び寄せる前のことだ。その左右に数回まわす方法を試してみたのだ。だが水位の変化はまったくなかったのだ」

 ヒゲをまっすぐ見た。
「では、あの総舵輪の操作方法をご存じだったのですか」
「・・っ!」

 逆に聞き返されて目を剥いた。