はるけき きみに  ー 彼方より -

 ヒゲが紫音に聞いた。
「では次の質問だ。あの建屋でどんな方法で水の調節をしたのか」

「中にある操舵輪という舵を回すのです」

「そうだりん、とな。それはどのような物だ」
「船の舵のような丸いものです。それを操作するのです」

「そんなものを回して水を排除できるというのか」
「はい」

「だとすればなかなか巧妙な仕掛けのようだな。して、それを考案したのは・・」
「篠沢丹波です」

「やはりな」
「父はもともとカラクリのような仕掛けを考えるのが好きでした。それであの地区の民百姓が増水して困っているのを見て作ったのです」

「ではその操舵輪の操作方法とはいかなるものか」

 ふと紫音が黙る。
 次の質問はこれだろうと思っていた。
 しかし・・。

『仔細は、決して他言するな』
 父丹波が言っていた。
『あの仕掛けを話せば悪用される恐れがある。だから迂闊に言ってはならんのだ』
 と。