はるけき きみに  ー 彼方より -

「まずあの建屋のことを聞く。あれを建てて内部に水を操作する装置をかまえた。それに相違ないな」
「はい」

「では、作ったのはだれだ」
「父です。篠沢丹波です」

「・・ほう」

 その名が出てヒゲの動きがとまった。

 篠沢丹波。
 彼はこの堺の役所の重職にあった。
 目の前の役人も関わっていたはずだった。

 その父が突然罷免された。
 罷免どころか、その日のうちに投獄、監禁されるというまさかの事態になった。
 今から一年前のことだ。

 あの日から、篠沢の家が、紫音の生活が激変していったのだ。


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